都市社会共生学科4年 Cさん
「ハリーポッターと呪いの子」で印象深かったのは魔法のリアリティを追求していた点である。私自身それほどハリーポッターシリーズの内容をそれほど詳しくは知らなかったため、登場人物や設定を追うのはやや難しかったが、不思議な魔法のシーンが沢山散りばめられていて、テンポ感が作り出されていたことで作品の持つ世界に入り込むことができ、最後まで楽しむことができた。
元々映画の中ではCGで完璧に作られていた魔法をどのように舞台で表現するのだろうと思っていたが、プロジェクションマッピングなどの技術を最低限に抑えて、あえてアナログな方法で魔法を表現していたことによって、魔法が非現実感とリアリティの両方をもって目の前に現れていたのが、とても面白い体験だった。タイムターナーで過去に移動するときの、時計が動きプロジェクションマッピングで空間全体が動いているように見える演出は迫力があり、また、魔法は杖の先に灯を灯すといった些細なものから戦闘シーンの大掛かりな魔法まで、どれも本当に魔法が使われているかのように感じてワクワクした。魔法のシーンとも関連するが、光の演出で空間を区切っていたことによって視点が明るい方に引き付けられ、より魔法や部屋などの空間の区切りが違和感なく表現されていて、座席に座っているだけなのにハリーポッターの世界に浸ることができた。
特に最近は消防法で火気の使用が制限されていて、派手な演出もあまり見られなくなっていることを個人的に残念に思っているので、今回のさまざまな魔法の演出はイリュージョンショーのようでとても珍しく新しさがあって、また仕組みが気になって、何度も見たくなるものだった。
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同 2年 Dさん
生で舞台を観るのは初めてだったが舞台装置や演出など衝撃的なものが多かった。特に印象的であったのはやはり魔法の表現である。舞台を観る前まではスモークやら効果音やらを使うのかと思っていたが杖の動きに合わせて光や炎がでるほか、演者の方々もアクロバティックに動いておりとても迫力があった。また変身するシーンや本棚に吸い込まれるシーンなど目を疑うような演出が多く、『ハリーポッター』の映画で感じたような驚きや高揚感を味わうことができた。特に時間が巻き戻るときに舞台が歪んで見える演出は仕組みが全く理解できずどうなっているのかとても気になった。このほかにも舞台上にとどまらず客席や壁にも施された演出や、また上演前のアナウンスなど観客を作品へと没入させる工夫が多くありとても楽しむことができた。
さらに観ていて興味深いと感じたのはシーンとシーンが切り替わるところである。壁や階段、小道具を出したり戻したりする際にただ黒子が行うのではなくローブを着た人たちがそのローブをはためかせながら踊るように行っており細かい工夫がなされていると感じた。ほかにもダンスやパントマイムなどのパフォーマンスも行われており切り替えの間でさえも魅力的であった。
そしてやはり圧巻だったのは演者の方々である。映画に慣れきった私にとって日本人が『ハリーポッター』のキャラクターを演じることに少し抵抗があったのだがしゃべり方や立ち振る舞いなどは私が知っているキャラクターそのもので、さらにそこに演者の方々の個性が合わさっていて良い意味で安心感のある舞台であった。特にロン役の方は言動やハーマイオニー役の方とのやりとりまで見事に再現されており、まさにロンそのものであった。所々、アドリブと思われる箇所もあり本編のストーリー展開を楽しむと同時にそのほかのお笑い的な要素も楽しむことができた。
映画『ハリーポッター』の魅力を再現しつつも、舞台ならではの演出や魅せるための工夫が多くあり楽しく鑑賞することができた。