3年生 女性 H・O
今まで何度か2.5次元舞台に足を運んだことはあったのですが、原作を知っている作品を観るのは初めてだったため、漫画やアニメで描かれていたものをどのようにして舞台で表現するのだろうか、とわくわくした気持ちで会場へと向かいました。
特に、妓夫太郎の回想シーンは涙を流さずにはいられませんでした。妓夫太郎役の遠山裕介さんの感情が込められた演技と歌声が、最小限の音楽と照明の演出と共に会場全体を一気に引き込んでいくあの感動は、現地でしか感じることができないものでした。最近は配信で視聴することができる舞台が増えている印象がありますが、やはり同じ空間でしか体験できない感動は確かに存在していると、改めて感じました。
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3年生 男性 M・M
『鬼滅の刃』は、アニメを視聴しており、お気に入りの作品の一つです。その中でも、特に遊郭潜入編は、無限列車編の続きとして、強い存在感をもつ煉獄杏寿郎亡き後の鬼殺隊の物語が紡がれており、印象深いです。加えて、音柱の宇髄天元や炭治郎たち、鬼殺隊と堕姫、妓夫太郎の戦闘シーンがド派手に描かれており、その圧倒的映像美に感嘆してしまいます。他にも、堕姫と妓夫太郎の壮絶な過去など、惹きつけられる話が多いです。その遊郭潜入編を、舞台化するということで、舞台上でどのように表現するのか、期待と興味に胸を膨らませて劇場へと向かいました。
いざ、劇場に入ると、霧の濃い暗がりの中、提灯や街灯の明かりで照らされた舞台には、「日本一色と欲にまみれたド派手な場所」、遊郭がそこに表れていました。遊女たちが上品に座り、自らの店へとお客を呼び込むおかみさん、花街を楽しむ客がその遊郭を周り、思い思いに歩いている。そのような日常の遊郭があることを体感させられ、それらとともに、花街の客が私たち、観客に向けて呼びかけを行うことで、さらに、その遊郭の舞台に引き込まれる感覚を持ちました。遊郭を舞台にこれから物語が進むという予感をもたせながら。
鬼殺隊が遊郭に潜入する場面では、明るく楽しいネタがふんだんに盛り込まれていました。ポップな雰囲気を、俳優さんの演技や舞台装置、効果音などで表現しており、思わず、くすっと笑ってしまうようなものが多かったです。特に、善逸が遊郭に女装し、潜入するときは、笑い声を抑えるのに必死でした。また、遊郭の煌びやかな雰囲気と調和するダンスにも見入ってしまいました。遊郭の表の明るい、煌びやかな世界をそこで体感しました。
そして、とうとう鬼との邂逅を果たし、鬼殺隊と鬼たちとの戦いが幕を開けました。アニメでは、鬼殺隊の技を鮮やかな色彩と迫力ある効果音、動きで表現していましたが、舞台では、刀を持った俳優さんの素晴らしい演技とスクリーン上に投影した技、効果音によって迫力あるバトルを表現していました。加えて、アニメなどで鬼の首が飛ぶ描写など実際に再現するのが難しいシーンでは、舞台装置や衣装、照明、俳優さんの演技と観客とのかかわりあいで、再現されており、感動しました。鬼殺隊と鬼との手に汗握る戦闘に、ただただ時間を忘れ、没入してしまいました。炭次郎や伊之助、善逸、禰豆子、宇髄らといった鬼殺隊が、傷つき、汗を流しながら鬼に食らいつきますが、鬼は傷ついても再生し、圧倒的な力で鬼殺隊を追い詰めていく。しかし、それでもなお諦めない鬼殺隊が鬼を追い詰めていく。実際に、その呼吸や息使い、足音などが感じ取れることでよりキャラクターたちを近くに感じ、感情移入していきました。この心を揺さぶる展開に、いつの間にか、「炭次郎がんばれ、負けるな」といった気持ちで胸がいっぱいでした。
最後には、鬼である堕姫と妓夫太郎の人間だったころの話に移ります。アニメでも、このお話は涙なしでは見れませんでしたが、舞台でもそれ以上に泣いてしまいました。堕姫と妓夫太郎の親密な関係性、遊郭の闇の側面、美醜といった様々な要素がかみ合った悲劇的なエピソード、それらを俳優さんによる表情、身体表現、声色の繊細な変化などと音楽、などが調和して、気づいたときには涙がこぼれていました。
劇場に入った瞬間に、『鬼滅の刃』の世界に引き込まれ、鬼殺隊と鬼との熾烈な攻防、堕姫、妓夫太郎の壮絶な過去など感情を強く揺さぶられる作品でした。