先日上海での2.5次元舞台調査に行ってきました。「ライブスペクタクル『NARUTO』」の上演に合わせ、大妻女子大の田中東子先生とともに、中国の2.5次元舞台ファン、コスプレファンにも話を聞き、実際の劇場で鑑賞しながら、観客の様子を参与観察してきました。マレーシア公演もまた決まったそうで、舞台「NARUTO」は初演から今回の再演でも、かなり海外進出している作品です。
「とにかく中国はすごい」
と、いろいろ聞いていたので、どんな感じなのだろうと興味をもっていました。劇場はかなり大きめな藝海劇院というところ。普段はコンサートなども行われるそうです。残念ながら字幕は、舞台の左右にある、普段は「注意」などが表示される電光掲示板で出るので、日本語がまたくわからない観客には、難しい配置でした。しかし、恐らく大多数がマンガ、アニメ「NATURO」のファンであるようで、その辺りはあまり問題がないそうです。通訳をしてくれた方に聞くと、「誤訳が多かった」とのこと。日本語のセリフが終わる前に笑いが起きたりした場面が数回あり、翻訳の功罪がでてしまった感があります。ただ、字幕をだせる空間が制限されているので、ある程度まとめた翻訳になってしまっても仕方がない状況です。面白かったのは、ナルトがサスケに「大蛇丸はお前の身体を器にしたいんだ」と言ったセリフが「大蛇丸はお前の身体が欲しい」と翻訳されていたそうで、いたずらにBL的妄想が膨らんだ一部の観客が黄色い声をセリフが終わる前にあげていたことです。これも海外上演での楽しみ方ですね。
日本の観客との一番の相違は、中国の観客の熱狂ぶりです。キャストが登場すると大歓声。悲鳴にも似た歓声で、大スターがあらわれたかのような歓迎ぶり。アクション場面はもちろん大喝采。そして、キャストがテーマソング「flow」を歌いながらフロアに降りてくるエンディングでは、中央に座っていたひとも身を乗り出して触ろうとしてきます。もちろん、キャー、ワー!が止まりません。
スタッフの方に聞くと、「この熱狂的な声援に、キャストもテンションあがって、盛り上がってしまっている」そうです。確かに日本ではある程度おとなしい鑑賞の仕方なので、中国の観客の”大騒ぎ”には、テンション上がってしまうでしょう。気持ちいいことこのうえないと思います。しかし、キャストに抱きつくなどの行為が出てもおかしくない状況なので、そのあたりはこちらがヒヤヒヤするほどの反応でした。
初期の段階では、上演中スマホで写真やビデオを撮る観客が多かったそうですが、赤いレーザービームで遮断する対策のおかげで、かなり数は減っているようです。それにしても、日本よりチケットがやや高めで、上演日数が限られているため、チケットが入手困難とのこと。入り口でのチェック(チケットを持っている人しか入れない)も、非常に厳しく、関係者受付に行かなければならなかった私たちは、2回拒否されました。(その後、日本スタッフの方が助けてくれましたが)。しかし、サービスはとても良く、写真のように会場内で写真撮影(NARUTOのポスターと自撮りするファン)はOKです。(日本では多くの劇場で、ロビーでの写真でさえ禁止されています。理由はわかりませんが、恐らく立ち止まらせたくない、混乱を避けたい、という理由かと思います)。入場者全員にポスターや生写真(その日はカカシ先生だけでした)が配られます。これは、日本では商品として販売するようなグッズです。(同じものではないですが)。
海外のファンの動向は、これからも継続して調査する予定です。