2017年2月11日
第3回2.5次元文化シンポジウム〜キャラクターソングをめぐって〜を終えて
アニメ、マンガ
第3回2.5次元文化シンポジウム〜キャラクターソングをめぐって〜を終えて

第3回2.5次元文化シンポジウム〜キャラクターソングをめぐって〜は、2017年1月31日(月)17:30〜19:30の2時間という短い時間の中、盛況のうちに終わりました。まず、(株)ランティスの社長である井上俊次先生が、「アニソンビジネス」と題して、ランティスさんが手がけているアニソン、キャラソンについて概観し、そのビジネス展開をわかりやすくご説明くださいました。特に、今回のテーマである、キャラクターソングと2.5次元文化の関係のところで、「黒子のバスケ」のキャラソン展開に、アニメの中の関係性が、キャラソンに持ち込まれる例(黒子と火神、緑間と高尾など)で、ファンたちが関係性や二人の心情を歌にする、という点が紹介され、非常に意識的に演出されている様子がわかりました。(提案するのは、若い社員らしいです)。

特に、ランティスさんは、声優を歌手として器用する際に、アニメの世界観をあえて背負わせるような戦略をしたところが、特徴的なので、そのあたりの意図が気になっていましたが、最初から狙ったわけではないこともわかりました。

井上先生のお話を受けて、私が「キャラソン、アニソンをめぐる”2.5次元遊戯”」と題し、アニソン、キャラソンの自分なりの定義、そしていわゆるキャラソンの歴史を、アイドルやアニメブームとの流れの中に位置付け、キャラクターの自律性と前景化についてお話しました。その流れを作ったのが、やはり2.5次元文化を成立させた、メディア環境の変化、リアリティ感覚の変容、SNSの普及などがあげられます。ファンタジーと戯れる現在のわたしたちのアニメ、漫画、ゲームをめぐる文化実践の中で、キャラが歌い、踊ることが、2.5次元空間なるものを成立させる触媒の役割を果たしていることを強調して終わりました。

舞台・ミュージカルと異なり、キャラソンはCDで聞いたり、物語の中で流れたり、ライブで聞いたり、といろいろな入り口、場面で幻視するものも違ってきます。そして踊るという行為も、ファンたちをつなぐ重要なファクターです。まだまだ2.5次元文化についての多角的な視点の一部を話し合ったにすぎないシンポでしたが、これからのテーマに対するヒントもいただけて、非常に有意義な2時間でした。


須川亜紀子
須川亜紀子
Akiko Sugawa-Shimada
横浜国立大学 都市科学部/都市イノベーション研究院 教授
Professor, Department of Urban Sciences/ Institute of Urban Innovation Yokohama National University
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