2017年3月05日
ショートビジット(SV)プログラムinシンガポール
アニメ、マンガ
ショートビジット(SV)プログラムinシンガポール

ぽぷすた有志で、シンガポールに行ってきました。横浜国立大学のグローバルスタディーズ・プログラムのショートビジット(SV;海外に10日以上滞在し、現地の大学で学んだり、現地の社会を実際に調査するなど)でのスタディーツアーです。JASSOからの奨学金も得ていて、学生にとっては、とてもいい短期留学的ツアーです。

今回お邪魔したのは、シンガポール国立大学(NUS)、シンガポール経営大学(SIM)、ラ・サール芸術大学でした。

(1)NUS National University of Singaporeシンガポール国立大学
日本学部准教授のデボラ・シャムーン先生のお世話になり、午前中は「アニメ・マンガサークル (Anime and Comics Club)」やデボラ先生のクラスのアニメファンなどが集い、ざっくばらんな情報交換をしました。英語で話すのに慣れていないぽぷすた学生たち。でも、慣れていないながらも、徐々に好きなアニメや漫画の話で盛り上がり、その後はランチを一緒にとって、すっかり友達になっていたようです。

午後は、デボラ先生の授業にお邪魔し、私が30分「日本の女の子向け魔法少女アニメとフェミニズムの関係」についてレクチャーしました。本当は300分くらいの内容なのですが、超短縮バージョンで、日本の「魔法少女」アニメが、いかにフェミニズム的にジェンダー規範を転覆、または交渉していたか、をお話ししました。大講堂でのレクチャーでしたが、アーチペラゴというシステムで、学生は質問をPCから接続して書き込むことができ、それを収集してスクリーンに写せるという優れものが導入されており、大講堂で手を挙げて質問するプレッシャーを軽減して、参加の意欲をうながすいい機械だと思いました。おかげていろいろな質問を受けました。

(2)SIM Singapore Institute of Managementシンガポール経営大学
SIMでは、学生たちが英語でプレゼンを行いました。”Female Otaku and BL Culture,” “Manga’s Adaptation into Live-action Films,” “Female cosplayers’ crossdressing” という3つのトピック。シンガポールに行く前に、リハーサルし、行ってからも休み時間に修正し、練習し、とかなり学生は大変でしたが、その甲斐あって、とても好評でした。終わった後、聴きに来てくれた学生たちと交流し、メルアド交換などして、また友達が増えたようです。アレンジしてくれたのは、日本文化をおしえているジョエル•グン先生。終わった後は、美味しいシンガポール料理バクテーのレストランに連れて行ってくれました。学生みなにおごってくれて、大変恐縮でした。

(3)La Salle College of Art ラサール芸術大学
ここでは、無理をお願いして、漫画研究者のリン・チェンジュ先生に、シンガポールで漫画やアニメを研究することの意義、そしてアニメイベントについてレクチャーしてもらいました。アレンジしてくれたのは、ラサールの日本アニメ研究者ガン・シューフィー先生。学生たちへの特別レクチャーで、非常に勉強になりました。特に、コスプレ(「キルラキル」の肌露出のコスプレをしていた女性を、一般のおばさんがびっくりして警察に通報した話など)の受容と一般の人たちの反応は、それをテーマに研究している学生には、かなり興味深かったようです。シンガポールは、英国の植民地から日本の支配、そして解放という経緯を踏んだ国であるゆえ、ポストコロニアルの面からも、日本のアニメ・漫画文化の受容と利用は、歴史的な観点から研究すると非常に興味深いものがありました。

そのほかに、NUSの学生にオタクショップを案内してもらったり、自分たちで見つけたり、いろいろな料理を食べたり、と楽しく勉強になる10日間だったと思います。


須川亜紀子
須川亜紀子
Akiko Sugawa-Shimada
横浜国立大学 都市科学部/都市イノベーション研究院 教授
Professor, Department of Urban Sciences/ Institute of Urban Innovation Yokohama National University
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