シンガポールSVで学んだこと—シンガポールでのコスプレ—
小島海結
シンガポールでも日本のオタク文化はかなり浸透していました。秋葉原に存在するようなアニメや漫画のフィギュアが購入できるショップがあったり、大きな書店では中国語や英語に翻訳された日本の漫画が置いてあったりするなど、様々な場所で日本のオタク文化を楽しむ人々の様子も垣間見ることができました。
滞在中に知り合った人々の中にはコスプレイヤーもいました。シンガポールでは男性同性愛を禁止しているなど、性に関して厳しい国という印象が強いですが、異性装を楽しむコスプレイヤーは多いようです。異性装を主に行っている男性に話を聞いてみると、男性異性装者限定のイベントも開催されているとのことでした。しかし、異性装は公に認められているものでもないらしく、かなりグレーゾーンだという話でした。
シンガポールSVの最終日間近にはODEXというアニメ配給会社によるイベントが開催されていました。そのイベントの1日目にコスプレ参加者への特典があったらしく、コスプレイヤの姿ーをちらほら見かけ、交流することもできました。日本のコスプレイベントと異なる点は、やはり着替える場所です。日本のコスプレイベントでは基本的に更衣室が設置されていますが、シンガポールのイベントではそれがありません。現地のコスプレイヤーに話を聞いてみると、イベント会場のトイレで着替えるかもしくは自宅から直接着てくることが多いようです。実際にその日、イベント会場の最寄り駅でコスプレイヤーを見かけました。この話を聞いて、日本の渋谷でのハロウィンの時期もこれと似たような状況であるなと思いました。
シンガポールでもコスプレイヤーが存在し、定期的にコスプレイベントが開催されているようでした。しかし、コスプレイヤーが一般的に受け入れられているわけではなく、露出度の高いコスプレを見て驚いた人が、警察に通報をしてしまったという例もあるらしいです。シンガポールでのイベントは、日本とはまた違ったルールで開催されているのだと思いました。けれど、日本ほど厳格なルールが存在しないため、ある程度コスプレイヤー自身のモラルに委ねられる面も多いです。日本では当たり前のようにされていることが、国が違えば全く普遍的でないことを実感しました。私は、コスプレが今や日本の文化の一角を担っていると考えています。日本でのコスプレのルールを海外でのイベントでもうまく適用していくことで、よりコスプレ文化も浸透していってほしいと思います。