シンガポールSVで学んだこと―日本とシンガポールの違い―
3年 山崎伽帆
私はシンガポールSVの中で、日本の文化がシンガポールでも受け入れられていることを肌身に感じました。自分にとってはこのSVが初めての海外渡航であり、シンガポールに馴染めるか不安もあったのですが、全て杞憂に終わりました。現地の空港には日本語で書かれた書類や看板が置いてありましたし、交通機関もしっかりしていて、手ごろな感覚で利用することが出来ました。ショッピングモールには日本のフィギュアやキーホルダーなどのグッズが並び、書店や図書館には翻訳された日本の漫画や書籍が置かれていて、日本との違いの無さに驚いたほどです。他にも日本の街中にもあるカラオケやファミリーレストランがあったりするなど、日本の生活で見慣れているものが街中に溢れていました。現地の学生や先生方とも日本のアニメや漫画などの話をしましたし、シンガポールで行われたアニメイベントでコスプレイヤーの方に出会い、日本の文化が深く親しまれていることを実感しました。シンガポールでの生活は、外国にいるはずなのに日本にいるような感覚もある、不思議な居心地の良さがありました。文化の広がりは国境を易々と超えるのだと驚かされると共に、私の中にあった外国に対する心理的な障壁をも和らげてくれました。
しかし、それと同時に自分が無知であることも痛感しました。SVの時期は丁度シンガポールにおける第二次世界大戦の終戦期に重なっていました。私はマーライオンを見に行った帰りに戦争の慰霊碑を目にしました。それまでシンガポールに親しみを感じていた分、衝撃を受けました。私は日本から世界へと広まっているものばかりを見て、それ以外のことには無頓着な部分があったことに気付かされたのです。現地の学生(シンガポール国立大学、シンガポール経営大学)との交流で、日本語と英語の混ざった会話をしながら、やはり日本とは違うところも沢山あるのだと感じました。ゲームといえばオンラインゲームなこと、音楽は日本のものよりK-POPが人気なこと、主にインターネットで日本の漫画を読むことなど、シンガポールの話を聞くたび、自分が持っていた価値観は日本に縛られすぎていたのだと感じることも多くありました。
今思えば、私が最初に感じたシンガポールの居心地の良さは「自分の知っているものが沢山ある」というところから来る安心感によるものでした。しかし、シンガポールで過ごすにつれて、自分が様々な物事を日本と同じように見ていたことに気付き、違うところも沢山あるのだと学ぶことが出来ました。日本の考えに縛られた自分を自覚し、広い視野で物事を見ることが大切だと感じることが出来たことが、このSVでの大きな収穫だと思います。