2017年9月16日
ミュージカルセーラームーンLe Mouvement Final 鑑賞
2.5次元ミュージカル・ライブシアター
ミュージカルセーラームーンLe Mouvement Final 鑑賞

「ミュージカルセーラームーン」(以下、「セラミュ」と略記)の最終章Le Mouvement Finalを鑑賞しました。「セラミュ」シリーズは、途中主要キャストの5人のセーラー戦士が交代しましたが、違和感なく全シリーズを見ることができました。個人的に、今回が一番楽しかったです。

うさぎも高一になり、衛はハーバード大学へ留学という、離れ離れの生活になることから物語は始まります。でもお別れした空港で、いきなり衛は肉体を破壊され、クリスタルシードだけになってしまうというショッキングなことに。そう、この章は、タクシード仮面の出番が非常に少ない、大和悠河ファンには残念な公演なのです。その分、新キャラセーラースターライツや火球皇女、セーラーギャラクティカ、ちびちびが登場します。

アニメで言えば、「セーラースターズ」の物語にあたるのですが、実は「セーラースターズ」は「セーラームーン」シリーズでは一番好きな作品でした。ジェンダースワッピング(しかも普段は男性、変身すると女性)のセーラースターライツたちも興味深かったし、はるかとみちるの戦いと二人の関係も気になったし、アニメではセーラームーンが裸体になるのも印象深かったからです。(詳細は、「あなたの痛みは私そのものー共闘する<魔法>少女たちのやすらぎ」、『ユリイカ』 特集百合文化の現在 2015年2月号を参照下さい。)

物語もそうですが、ミュージカル部分には感動しました。宝塚出身やミュージカル女優がキャストに多いこともありますが、セーラー戦士の5人もなかなかうまくなっていて、驚きました。ちびちびの子役もとてもうまく、アニメでは出せなかったちびちびの幼さ、可愛さが伝わってきて微笑ましかったです。そして、ちびちびの大人の姿セーラーコスモス役は、前半の「セラミュ」で主役のうさぎをつとめた大久保聡美さんだったので、非常になつかしかったです。

会場はやはり女性の姿が多かったですが、男性、子供、親子、海外の方がかなり混ざっていたのが印象的でした。「セラミュ」にはコスプレしてくる海外の方もいて、他の2.5次元舞台とは少し異なるデモグラフィックがあるのですが、今回はより広いハイブリッドな観客層でした。ともあれ、これで「セラミュ」は一旦幕を閉じます。女性オンリーキャストという、特異な作品でしたが、2.5次元文化においては非常に興味深い要素を提供してくれました。

(注:写真は「セラミュ」ポスターを写真に撮ってSNSでアップしている様子の女性観客)


須川亜紀子
須川亜紀子
Akiko Sugawa-Shimada
横浜国立大学 都市科学部/都市イノベーション研究院 教授
Professor, Department of Urban Sciences/ Institute of Urban Innovation Yokohama National University
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