東京ドームシティで行われた、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」進化の夏(以下、「ハイステ」)、を観劇して来ました。初演からずっと観ているこのシリーズですが、毎回変わる演出に驚かされます。今回の大きな変化は、女性キャラクターが登場したこと、スクリーンの登場と使いかたの変化(その代わりなのか、八百屋は無くなった)でしょう。
*ネタバレ注意
これまで、「ミュージカルテニスの王子様(以下、テニミュ)」はじめ、スポーツを描いた少年漫画系原作の舞台では、「チーム男子」、つまり女子のいない空間(女性役は男性キャストが、女性ではないとわかるように演じる)が特徴的でした。原作に女性キャラが出てくるが、あえて「チーム男子」にしているのは「テニミュ」、舞台「弱虫ペダル」、そして「ハイステ」第1、2弾などでした。(「ただし「ハイステ」は女性キャラは舞台外にいるという設定で、男性キャストが演じることはなかった)。
今回は、バレー部マネージャーの清水潔子、新米マネージャーの谷地仁花、メンバーの一人田中の姉、田中律子が登場。舞台狭しとキャラクターが増殖したことで、とにかくカーニバル的なステージが出来上がりました。物語は、仁花の視点を軸に、兄との確執がある月島蛍の視点(第三者の目)も交叉され、青葉城西に敗北した烏野のメンバーのそれぞれの成長が描かれます。特に仁花と月島の視点を軸にしたのは、一定の距離感がある二人が、他のメンバーの成長を観察するという視点が得られること、そして二人がそれぞれ家族との確執を超えて成長することが、各メンバーの成長のシンボルとなっているからだと思われます。
それから、スクリーンの登場。スクリーンをバレーのネットに見立てたり、過去の回想に使ったり、漫画の一コマのようにクロースアップに使ったりと、デジタル化された世界と現実のキャストが演じている世界が交差して、目まぐるしく時間軸が入り乱れたりするので、かなりのスペクタクル感がありました。コンマ何秒かというきちんと計算されつくした動きも健在で、それがあるからこそのアドリブも面白く、また、どこの席から見ても違う発見があるという、舞台の上下左右すべてを対象にしたプロジェクションマッピングも、迫力がありました。ライブカメラも、「どこから映しているの?」と思うほど、何台もあったようです。
期待の先を行く舞台でした。