2018年1月に、国立シンガポール社会科学大学のJoel Gn先生を招聘し、2.5次元文化についての研究会、講義、ワークショップを開催していただきました。グン先生は、メディア学を専門とし、日本のカワイイデザインが、アジア諸国でどう消費され、それがメディアエコロジーの中でどのように機能しているか、をお話しくださいました。
そして、人生初という2.5次元舞台にお連れしました。それが、アニメで大ブレークした、メディアミックスプロジェクト「けものフレンズ」の舞台です。この舞台の特徴は、アニメの声優さんが、ほぼそのままの役で舞台に出ているため、声という媒介物が2次元と3次元を直接接続しているという点です。
AiiA2.5次元シアターでの上演でしたが、今回は字幕メガネの設定がなく、日本語が完全ではないグン先生がどのくらい楽しめるのか不安でした。物語は、アニメとは少し異なるオリジナル脚本。サーバルキャットのサーバルちゃんを中心に、ペンギンパフォーマンスプロジェクト(ぺぱぶ=PPP)とアイドル対決する、という内容です。アイドルなので、歌が入り、観客はその時だけサイリウムを振ることを許可されます。よく2.5次元舞台では、一部がミュージカルや台詞劇、二部がショーで観客参加、という構成が多いのですが、この舞台は劇中劇としてアイドルコンサートの体をとっており、新しい見せ方だと思いました。
コンテンツから考えれば当然なのですが、観客は男性がほとんど。アニメファンが舞台に流れてきた感じです。実際、声優さんの声の出し方は独特で、コスチュームもカワイイので、まさに「カワイイ」キャラが目の前に出てきた感じです。いわゆる「2.5次元感がハンパない」という形容がぴったりでした。
嬉しいことに、お見送りもありました。以前はよく目にしていたキャストによるお見送りですが、人気が出てきたためか、時間がないのか、お見送りサービスがない舞台が増え、閉幕と同時に夢の世界が終わってしまうところが少し寂しかったのですが、今回は劇場を出る前にお見送りを受け、最後まで2.5次元感を味わうことができました。
グン先生も満足げ。日本語は単純だったので、ほとんどわかったとのこと。よかったです。写真は、すっかり魅了されたグン先生と「舞台けもフレ」のポスター。