第2回YGS-C学生フォーラムが7月25日に無事終了しました。
カナダのコンコルディア大学大学院映画学専攻の修士1年のコール・アーミテージさん、同じくヴィクトリア・バーントさんの発表を、都市イノベーション学府の都市文化系修士2年の李さんと山崎さんがコメントし、討論を行いました。
まず、アーミテージさんの発表は、メル・チェンが提唱した「アニマシー」という概念を、アニメーション、ウェブコミックに応用するものです。アニマシーとは、知覚、可動性、生存性などを意味するものです。命を吹き込むというアニメートという言葉は、フルアニメーションで非人間の造形物(コマのつらなり)を重ねることに、西洋のアニメーションは使ってきましたが、実はそれは標準化されたヘゲモニックなものであり、私たちは、静止画の並置の「溝」をうめることで、非人間の事物をアニメートされているように認知する。アニマシーは、命の幻影でなく、命そのものを生み出すことでもある、という。
韓国のウェブコミックを例にあげながら、紙媒体のコミック本を読む人間の読者の読み方ではなく、スクロールダウンして、ついにはある時点でJava Scriptが自動的にスクロールをコントロールする(非人間による読書)ということを通しても、アニメートされる(命が吹き込まれる)こともあり、人間・非人間、主体・客体などの二項対立は、限りなく無効であることが証明されました。映画、紙芝居、文楽などのメディアとの比較も興味深いものでしたが、残念ながら時間がなく、今回は深く話を進めることはできませんでしたが、参加者たちは非常に興味を持ったようです。
次に、バーントさんの発表は、アニメ『ポプテピピック」のコンテンツの拡大についてでした。まだ調査中とのことですが、北米でも人気のこのコンテンツは、漫画原作の12話の短編アニメであるにもかかわらず、パロディや不条理ギャグにより、オリジナルの意味を書き換えてしまうパワーをもっています。ファンの二次創作、ファンアートにも、『ポプテピピック」がテキスト(アニメ)で行なったスタイルが拡張し、N次創作がテレビ放映が終わった後でも続いているのは、驚くべきことです。
発表では、いくつかのアニメの分析事例と、ファン創作のグッズについての分析がありましたが、こちらも時間が来てしまい、コメントや質問だけで、深い討論までは至りませんでした。もう少し時間が必要でしたが、同じ大学院生として北米の学生の発表を聞く機会(日本語訳つきの英語でしたが)は、学生にとって貴重だったのではないかと思います。
実際、終わった後も個人的に発表者に質問する学生もおり、こうした交流からあらたな研究のヒントが生まれるのを切に願っています。