2019年8月6日〜10日まで、DiGRA(デジタルゲーム学会)に参加しました。特に、6日のRayna Denison先生主催のワークショップ “Media Mix and Franchise Theory”で、日本人として日本のメディアミックス状況を、自分の研究の分野(2.5次元舞台)から考察、発表しました。目次では、なぜか私の所属がYokohama International Universityと書いてありますが、もちろんYokohama National Universityの間違いですね。internationalと書いてあるだけで、国際的に見えるのは私だけでしょうか(笑)ワークショップは、Henry Jenkinsのご挨拶ビデオから始まりました。レジェンドが、私たちのワークショップのためにビデオメッセージをくれるなんて、なんだか夢のようでした。
とにかく、このワークショップは、メディアミックスとフランチャイズの差異や、何を問題として浮かび上がらせられるのか、という初期の問題意識から、より大きな議論の枠組みが、話し合いの中で確認できました。
メディアミックスは、日本の特殊なメディア環境において可能な場合が多く、汎用的にどの文化産業にも適用できるとは限りません。また、メディアミックスは、私の理解では、ファンの関与もその範疇に入ることが、フランチャイズと大きく違うことだと思います。
海外の研究者と話していてよく思うのは、日本のカタカナ語の概念が、英語とずれること。今回も「メディア」という日本の概念が、いろいろな意味を持つことを指摘されました。確かに、マスメディアやジャーナリズム(テレビとか)をメディアと言ったり、メディアプラットフォーム(映画、テレビ、漫画、パチンコとかの媒体の場)をメディアと言ったり、そのコンテキストによって使い分けている単語です。しかし、英語のmediaは、マスメディアを指さないし、媒体の場は、media platformと言いますし、本当に外来語をカタカナにした日本語は、曖昧です。もちろん、メディアミックスと言った時のメディアは、メディアプラットフォームを指しています。
もう一つ、コンテンツと日本語で言うところのものを、英語ではIP(Intelectual Property)と呼び、ここにも齟齬が生まれています。いわゆる原作みたいな意味のIPですが、メディアミックスの場合、最初から多メディア展開を企図して、特にメディアプラットフォームによって話が少しずつ違っていたりもするので、なかなか説明が難しいですね。
フランチャイズにしても、カタカナ語で「フランチャイズ」というと、どうしてもコンビニやレストランのフランチャイズを思い出してしまいます。私の理解では、フランチャイズ理論の場合、Franchiser とFranchiseeの間の力関係が明確で、franchiserへのroyaltyやそのコントロールが強いのが特徴だと思います。
ゲームの世界では、Ludo Mixと言うことが多いそうな。このワークショップを通じて、考えなければいけない問いが増えてしまいました(笑)。でも、今後の可能性も含め、非常に意義深いワークショップだったと思います。