先日院生とミュージカル「美少女戦士セーラームーン」かぐや姫の恋人 を観劇させていただきました。ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」(通称「セラミュー」)といえば、東映動画(現・東映アニメーション)制作のテレビアニメ「美少女戦士セーラームーン」が放映された1992年のヒットを受けて1993年~2005年まで夏休みなどに上演していたミュージカル「美少女戦士セーラームーン」(バンダイ版)がありました。初代セーラームーン役大山アンザさんは、現在ANZAという名で舞台でも活躍するベテラン歌手です。
「セーラームーン25周年記念プロジェクト」の一環として再び「セラミュ―」が上演されたのが2013年~17年(ネルケプランニング版)。演出・脚本は、90年代の「セラミュ―」と同じ平光琢也氏。大きく変わったのは、キャストが全員女性で、タクシード仮面役に元宝塚宙組トップの大和悠河さん他、多くの宝塚出身女優さんたちが脇をかため、セーラー戦士はオーディションで選ばれた女優さんが活躍しました。初代セーラームーン役大久保聡美さんは、まさに「うさぎちゃん」でした。2代目野本ほたるさんもまた違った「うさぎちゃん」で、どちらも素敵でした。
そしてコロナ禍で遅延し、ついに2021年上演された「セラミュ―」は、原作の番外編である「かぐや姫の恋人」を描く単発作品。主役はルナで、ルナの人間に変身した姿が見られるという非常にレアな作品です。演出・脚本は三浦香氏。「最遊記歌劇伝」シリーズなどを手掛けるすごい演出家さんです。特に舞台装置の使い方、見えないところを観客の想像を掻き立てる形で”視せる”ような演出は、とても興味深いです。今回もオール女性キャストで、セーラームーン役は田中梨瑚さん。安定した演技と歌で、今までとは少し違った落ち着いた雰囲気のうさぎちゃんでした。タクシード仮面役は元宝塚の蒼羽 りくさん。主役はルナなのでセリフはすくないものの、所作やポージングがすっとして、さすがの美しさでした。動物キャラクターを舞台化する際、ぬいぐるみを使って、声は「天の声」で合わせるか、その役の俳優さんが動物人形を操るか(『ライオンキング』方式)、擬人化するか、など悩ましいところだと思いますが、今回は主役でもある黒ネコのルナは、擬人化として黒い衣装をまとって表現されました。ルナ役の櫻井佑音さんのダンスがとても素晴らしく、ネコ的でかわいかったです。
会場では、実に年齢層の広い観客デモグラフィックが観察されました。男女混合しているところも「セラミュ―」が老若男女に愛されていることを物語っています。今回はペンライトなどを使えるライブショーパートもあって、発声はできないものの、盛り上がって終わりました。コロナ禍で会場の入りはあまりよくないらしいですが、ライブで会場で観れることに感謝です。