2023年2月03日
[舞台鑑賞] 舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」③
2.5次元ミュージカル・ライブシアター

今回で学生たちの感想は最後になります。

都市科学部 2年 Eさん

今回の公演を見て、『ハリーポッター』の世界を深く味わうことができました。それは、公演に至るまでと公演中の丁寧な工夫からくるものだと感じました。
私たち、観客が公演に至るまでに辿る中には、さまざまな工夫がありました。赤坂駅からTBS赤坂ACTシアターへ向かう際には、ホグワーツの動く階段をイメージした42枚の肖像画が飾られた階段を通り、物語に大きく関わる巨大なタイムターナーのオブジェを見ることができる。劇場はもちろんのこと、劇場付近の建物も、『ハリー・ポッター』シリーズの魔法界一色になっていました。観客である私は、物語から飛び出てきたようなアイテムや街並みを見ることで、劇場に行くまでにも『ハリー・ポッター』の世界を体感し、没入する感覚を味わいました。劇場に入るまでにも、『ハリー・ポッター』の世界観を堪能でき、舞台への興奮も高まりました。
 そして、世界観を意識したアナウンスによって開演の合図がなされると、さらに『ハリー・ポッター』の世界に入りこんでいきました。『ハリー・ポッター』シリーズの見どころの一つである魔法は、今回の公演では様々な工夫でそれらを巧みに表現していて驚きました。舞台装置や照明などが掛け合わさり、魔法が違和感なく盛り込まれていました。私自身、それらがどのように表現されているか見当もつかず、「魔法」が存在しているようにしか見えませんでした。さらに、衣装や音楽なども『ハリー・ポッター』の世界にいるような感覚をさらに強めました。それらが、役者さんの素晴らしい演技と掛け合わさり、ハリーたちが今そこに存在しているという感覚を覚え、惹き込まれました。また、ハリーやロン、ハーマイオニーが魔法界を救ってから19年後のストーリーということで、『ハリー・ポッター』シリーズの続きを今回の舞台では描かれていたが、これは、原作ファンにとって魅力的なものだと思います。『ハリー・ポッター』シリーズのハリー達が、大人になり、成長している話を体感することができることは、ハリー達と自分たちが同じ時間にいるような感覚になり、よりハリー達を自立したキャラクターとして感じます。ですが、たとえ『ハリー・ポッター』シリーズを知らない観客が見ても楽しめる作品でした。実際、『ハリー・ポッター』シリーズを知らない私の母が、舞台を見に行ったのですが、「とても楽しかった」と興奮して話してくれました。
 舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』は、公演や公演する前にも『ハリー・ポッター』シリーズの世界に没入し、体感できるような様々な仕掛けや工夫がこらされていました。それらによって、私も『ハリー・ポッター』の世界観に没入し、魔法やストーリーといったものに興奮し、ワクワクしました。見終わった後は、すごいものを見たと感動しました。多くの人に、この感動を体感してほしいと思います。

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同 3年 Fさん

須川亜紀子先生のお誘いの元、須川スタジオ・ゼミナールの学生と共に舞台『ハリーポッターと呪いの子』の昼公演を観劇させていただきました。率直な感想ですが、「圧巻」でした。舞台を観劇する経験が少なく、『ハリーポッター』シリーズは映画版の知識しかない私でも、この作品が大勢のスタッフ、キャスト、そして『ハリーポッター』ファンの総力を結集して作り上げられたことがよく分かりました。

 開演して間もなく、魔法や環境を再現する技術に驚きました。『ハリーポッター』シリーズの映画版では、物が動いたり光が出たり、変身したりといったような魔法がCGで再現されていますが、映画で観たものと全く同じ魔法が、現実空間で再現されていたのです。そんな魔法が、見せびらかすようにというよりは、むしろごく当たり前のことのように、流れるように使われていたため、「魔法が日常に溶け込む世界」への没入体験ができました。環境という点では、揺れる列車の中やホグワーツ城内の動く階段なども、動きがリアルで実際にその場にいるような感覚を味わえました。また、杖で魔法を操る際に、杖の先から光が出る演出が度々ありましたが、どの演出においても、光の量、色、動き方が少しずつ異なっていて、さらに役者さんがその演出に応じて、魔法の種類や規模感を考えながら杖を振っているのが分かり、「こだわりがすごい!」と感じました。

 役者さん一人一人の演技も見事で、例えばハリー役の向井理さんが、息子アルバスの自由を制限するような態度をとった場面では、当事者でない私もハリーに対していらだちを覚えつつも、抗うことができないもどかしさを感じるほど迫真の演技でした。今回の舞台の原作となった小説は読んでいなかったため、アルバスやスコーピウスなど、映画には登場しないキャラクターの情報が無い状態で観ていました。それでも藤田悠さんや渡邊聖斗さんらの演技で、それぞれのキャラクターの輪郭がくっきりと見え、さらにハリーやドラコの息子たちの意外な一面がより強調されたのが面白かったです。

 脚本については、本来非常にボリュームのあると思われる原作を、話の流れが途切れないようにしつつもスピード感のある形で構成されていたので、観ていた飽きるシーンが全く無かったです。幕開け後すぐは特に展開が早かったのですが、素早い切り替わりの中にも、役者さんの丁寧な動きや細かい魔法の演出が多く、すぐに舞台の世界観に引き込まれました。4時間弱という長い公演時間もあっという間に過ぎ去り、カーテンコールの際には名残惜しさをひしひしと感じました。

 舞台『ハリーポッターと呪いの子』を観劇し、改めてストーリーやキャラクターを知った今の状態で2回目を観たい!と強く思いました。『ハリーポッター』ファンはもちろん、原作や映画を知らない方でも心から楽しめる作品だと思います。まだ観ていない方に広くおすすめしたいです!


須川亜紀子
須川亜紀子
Akiko Sugawa-Shimada
横浜国立大学 都市科学部/都市イノベーション研究院 教授
Professor, Department of Urban Sciences/ Institute of Urban Innovation Yokohama National University
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