2015年9月20日
「テニミュ」3rdシーズン 聖ルドルフ編 鑑賞感想1
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「テニミュ」3rdシーズン 聖ルドルフ編 鑑賞感想1

3rdシーズン 「ミュージカルテニスの王子様青学vs聖ルドルフ」を元ぽぷすたの4年生と鑑賞してきました。以下、感想文を掲載します。

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『3rdシーズン ミュージカルテニスの王子様青学vs聖ルドルフ』を先日観劇した。初めてテニミュに生で触れたのは今でも忘れられない、2008年5月24日土曜日の神戸であった1stシーズンDream Live 5thだった。まさに夢のライブを目の当たりにして以降は高校時代のなけなしのお小遣いは全てテニミュに費やし、出来る限り観劇していた。それから私とテニミュの間に一年の休止期間があり、2ndシーズンが始まるが実は三度しか観劇していない。実質1stシーズンぶりといっても過言ではない、久方ぶりのテニミュ観劇が今回の3rdシーズン聖ルドルフ戦である。

テニスの王子様のストーリー三巡目となる3rdシーズンを観劇した1stシーズンファンがどのように感じたのかをここに認めたい。

まず、はじまりから違和感があった。コミックスのテニプリを一年トリオが読み始め、原作キャラクターを背景に同じポーズのキャストが紹介されていくのだが、これは1stにはない演出であった。しかし、先日観劇した舞台『帝一の國』でもこのような始まり方が見て取れたことから、2.5次元ミュージカルが盛んになってからの傾向なのかもしれない。

毎度恒例の一年トリオソングだが、セットも何もないステージ上でトリオが話している、その後方にものが置いてあるのが見て取れた。ステージと同じ色の布が被さっており、これは曲の途中で判明するのだが、トリオのダンス中に使う帽子が事前に用意して置かれていたのだ。テニミュにおいてこのような、小道具を事前に設置しておくという演出が記憶になく新鮮味があった。手に持って登場し、その不自然さにキャストが自ら触れ、ネタにして客席を笑わせるという風な演出などをこれまでなら、していたのではないだろうか。
次に、キャストとキャラクターに着目して感じたことを書いてみたい。

2ndと3rdでは、シーズンを通してキャストが変わらないという特徴があるが、それ故だろうか、テニミュで再現されたことのないキャラクターが今回出てきた。それは一例を挙げるなら聖ルドルフのノムタクなのだが、正直このキャラクター、原作でもちょい役なのでミュージカル化において尽く省かれていたのだ。ちょい役キャラに専属キャストが割り振られているほか、ストーリー上必要だが今公演には居ない、別の他校キャラを顔出しなしで使用しストーリーを進めていく演出も見受けられた。それからもう一つ、キャストに関して目についたのが、舞台上の装置を動かす黒子スタッフである。1stでも居たことはあるのだが、シーズン終盤ではキャラがネットを動かすなどの舞台装置移動を賄っていたように思う。そもそも今回は舞台装置移動が多いと感じる公演ではあったのだが。何にせよ、可能性の広がりを感じるシーズン二作目であった。

そして最後に、ファンサービスにも触れておきたい。
アナウンス・ハイタッチ・お見送り・プレゼントがあったのだが、「なんだこれは!」。言いたいことは、この一言に尽きる。芸もなく1stと比べるが、アナウンスとハイタッチは格段に強化されている。そして中でも衝撃的だったのは、お見送りである。確かに、お見送りは1stでもあった。しかしそれはチケットがはけなかった地方公演のチケットを売るための(と、そう私は解釈した)策として一部公演で実施されたラッキーサービスだった。それなのにそれを当然のようにやってのけていた3rdシーズン。それはもう、最高のファンサであったと声を大にして言いたい。

このように、演出など、これまでとの差異に新鮮さを感じ楽しんでいたのだが、変わらないものもあった。ミュージカルの要ともいえる、曲。これはあまり変えることなく使われているものもあり、懐古の情に駆られる。そしてこうやって古参ファンの心も掴んでいるのだなと感心した。
差異を感じながらの観劇もなかなかおもしろく、それでいて今シーズン特有の特徴にも魅せられ、とりあえずこの聖ルドルフ戦はもう一回行こうと心に誓わされた、そんな公演であった。 (4年 久留みふ)


須川亜紀子
須川亜紀子
Akiko Sugawa-Shimada
横浜国立大学 都市科学部/都市イノベーション研究院 教授
Professor, Department of Urban Sciences/ Institute of Urban Innovation Yokohama National University
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