2016年2月26日
「ミュージカル テニスの王子様 青学vs.山吹」鑑賞報告2
2.5次元ミュージカル・ライブシアター

2.5次元ミュージカル初体験の2年生からも鑑賞報告が届きました。
*******************************

私は他のミュージカルを見たのも数回、2.5次元ミュージカルには行ったこともなく、「テニスの王子様」自体もあまり知らない(青学の登場人物が分かる程度)、一応アンコールパートの「シャカリキファイトブンブン」は簡単に予習した、という状態での観劇だった。

最初、「テニミュ」の会場はもっと賑やかな空間だろうと思っていた。それこそコンサートのような、始まるときには歓声が上がったりするんじゃないかと。でも、観劇中は静かで、基本の部分は観客も舞台も変わらないと感じた。

では、普通のものとの差異は何だろう、と考えたとき、まず浮かんだのはアンコールパートだ。みんなでチームを応援しよう!というノリは味わったことのないものだったし、このあたりのファンとキャストの一体感が「テニミュ」の特徴であり、好まれる部分ではと思う。正直、ちゃんと予習しておいてよかった……みんなでブンブン手を振るのがとても楽しかった。

それに、最初見たとき「コスプレだ」と感じたものが、終わりごろにはキャストの一部として認識していたのは驚きだった。乾の、あのツンツンしたヘアースタイルが特に、コスプレっぽくて特徴的だなと思っていたが、最後の方はその違和感が消えていた。いつの間にか頭の中で役者がキャラクターになっていた、ということではないかと解釈している。

それなのに、キャストが役じゃなくて自分自身を舞台の上で見せたとき、「かわいいな」、「すてきだな」、と思ったのが一番不思議だった。キャラクターの役者から、現実の人間味が見えた瞬間に引き込まれた、と言うのだろうか。劇中では荒々しいキャラクターだった亜久津役のキャストさんが、足を揃えてしっかりとこちらへお辞儀をしたときにはその違いに惹かれたし、アンコールの時に河村役のキャストさんが緊張していたのが印象的で、頑張ってー!と自然に応援していたのが個人的に驚きだ。

最初はキャラクターを演じる人を見ていたはずなのに、いつの間にかキャラクターそのものになっていて、でも惹かれたと思ったのはキャラクターではなくその人自身が見えたとき。時間をおいて見てみると、自分は非常に不思議なラインを彷徨っていたような気がする。それこそその曖昧さが楽しかったようにも思える。ただ、自分が「テニプり」原作を知っていればもっと楽しめたのかなと感じた部分も多い。(ダンスや演技、曲の歌詞の意味など)十分に楽しめたのだろうか?もっと楽しめたんじゃないか?と思い、こうやって観劇した人間は原作に引きずり込まれていくのかな……と戦々恐々としている。普通のミュージカルより原作の力が強い分、深みにハマりやすいコンテンツなのかもしれない。(2年 山崎 伽帆)


須川亜紀子
須川亜紀子
Akiko Sugawa-Shimada
横浜国立大学 都市科学部/都市イノベーション研究院 教授
Professor, Department of Urban Sciences/ Institute of Urban Innovation Yokohama National University
© ぽぷすた All Rights Reserved.
このHPに掲載されている記事・写真の無断転載を禁じます。