2016年3月27日
日本2.5次元ミュージカル協会での会員セミナー
お知らせ

先日、一般社団法人日本2.5次元ミュージカル協会の会員セミナーで、ファンについてお話させていただいた。

圧倒的に女性ファンが多い2.5次元ミュージカルだが、そのどこに惹かれるのか、色々と言説はある。2.5次元舞台が多様化、増加するにつれ、様々な演出やキャスティングがあり、ファンの傾向を一般化することは困難であり、もはや不可能に近い。けれども、それでは研究にはならないので、ある程度の線引きやまとめが必要だ。そうした前提をした上での発表だった。

2.5次元舞台女性ファンの多くは、キャラクターとキャストの間で、舞台の世界(劇場という装置の内部)そしてネットの世界(twitterでの情報コミュニケーション、キャストたちのつぶやきへの反応)が、限りなくフラットで地続きの地平で楽しんでいる。2.5次元舞台は以前からあったのに、なぜ今流行っているのか・・という言説はまだあるが、ネットやコミュニケーション形態が劇的に変わったこと、メディアミックスによるコンテンツ消費、利用を視野にいれれば、やはり2010年代の2.5次元舞台の飛躍的な人気は、以前(あえて「テニミュ」以前と呼ぼう)とはやはりファンの活動は異なるのである。

もう一人の登壇者はラサール石井さん。控室でも気さくにお話くださった。ラサールさんは1999年〜2006年「こちら亀有駅前派出所」のミュージカルを演出、主演された方。2.5次元という言葉が今のような使い方をされていなかった頃の先駆だ。アニメの声優もつとめてらしたから、ラサールさんのビジュアルと声は、その頃かなり今のようなビジュアルと声による自律的キャラに近かったのかと想像する。(それでも”ラサール石井”という色があるので、完全に個性を消すことはなかったであろうが)。トークの最後にその頃のVを見せてくださったのだが、「海パン刑事」には笑った。ラサールさんいわく、「お母さんへのサービス」だったそうだが、これは子どもも笑える演出。リアルタイムで観たかった。。今秋舞台版「こち亀」は再演されるそう。これは見るべきだろう。


須川亜紀子
須川亜紀子
Akiko Sugawa-Shimada
横浜国立大学 都市科学部/都市イノベーション研究院 教授
Professor, Department of Urban Sciences/ Institute of Urban Innovation Yokohama National University
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