2016年3月31日
アニメジャパン ルポ
アニメ、マンガ

2016年3月26−27日、東京国際展示場(東京ビッグサイト)で、アニメジャパンが開催された。今年の入場者数は、過去最高約13万5千人だったそうで、年々増加中である。筆者も昨年から来ているのだが、外国人の参加者の増加が目立つと感じていた。アニメジャパンのために来日する、という外国人も相当数いると思われる。

今回の一つの目的は、セミナーに参加すること。「アニメ創りの世界にようこそ」というセミナーに参加することができた。講師は、スタジオ4℃の田中栄子社長。モデレーター、司会は、アニメビジネスの本でおなじみの増田弘道さん。主にアニメを作りたい人向けのものだったが、非常に勉強になった。

スタジオ4℃というと、私は「アリーテ姫」のファンだったので、それ以来注目していたスタジオだった。片渕須直監督に注目して作品を追っていったきっかけでもある。

田中社長は、元日本アニメーションに在籍。制作としてアシスタントプロデューサーをされていた時、テレビシリーズと映画を同時に3つ(「みつばちマーヤの冒険」「イソップ物語」「80日間世界一周」(合作))進行させていたという。すごいバイタリティ。同時に子育てもしていたというから、スーパーキャリアウーマンだったのだ。その後、スタジオジブリで「火垂るの墓」「となりのトトロ」が同時上映のため、同時制作に入り、トトロ班のスタッフが不足していたことで、トトロ班へ。制作スタジオ探しから始めたそうだ。その頃、大友克洋監督の「AKIRA」制作が三鷹であったのだが、そこにもスタッフが不足していたので、「スタジオ猫の手」と名乗って、スタッフを連れて助っ人に行ったらしい。その時のスタッフを連れて、今度は「魔女の宅急便」を創り、宮崎駿監督が自分のスタジオへ引っ越したことをきっかけに、残ったスタッフでスタジオ4℃を立ち上げたのだという。

こうしてライフコースをうかがうと、4℃のカラーというのが見えて来る。ご本人は「やりたいことを好きなようにやっていただけ」ということらしいが、その自由さが作品に出ているのかなと思う。第1作1995年「MEMORIES」ですでにCGを使用したり、2010年「ベルセルク」で、その頃珍しかった3DCGスタッフをまず探すことから始めたなど、裏話をたくさんうかがえた。

スタジオジブリをやめたスタッフには、なぜ素敵な作品を生み出す人が多いのかな、と長年疑問だったのだが、謎が少し溶けた。山田社長は、優しいオーラがあって、とても気さくな方だった。女性が元気な会社は伸びる、という持論が私にはあるので、なるほどこれが秘訣なのかと思った。

増田さんともお話でき、嬉しかった。いろいろ実りの多いセミナーだった。


須川亜紀子
須川亜紀子
Akiko Sugawa-Shimada
横浜国立大学 都市科学部/都市イノベーション研究院 教授
Professor, Department of Urban Sciences/ Institute of Urban Innovation Yokohama National University
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