2016年4月09日
舞台「黒子のバスケ The Encounter」鑑賞報告
2.5次元ミュージカル・ライブシアター

先日舞台「黒子のバスケthe Encounter」を見てきました。アニメの大ファンであり、元バスケ部であるので、イメージが少し違ったり、シュートの時の重心がずれていたり、という細かなところは気になりましたが、かなり満足のいく舞台でした。

キャストは、黒子テツヤの声優である小野賢章さんがやっているのもあって、黒子はまんま黒子がそこにいる感じ。声がつくりだすイメージというのは、あらゆるキャラのズレを一瞬に統一してしまう力があります。他のキャストもできるだけ声優の声やトーン、速さ、口調を似させたようで、いずれのキャストも、二次元をよく再現していました。(土田くんを除く。土田くんは狂言回し的なポジションで、それはそれでうまくいっていました)

見る前に一番気になっていたのが、「バスケットボールをどう表現するのか」。「テニミュ」では、ボールは光で表現され、音とラケットの動きで、私たちはボールの幻想をみることになりました。「ハイキュー」では、実際のボールが床を転がるところはありましたが、基本音と動作(アタックなど)でボールを表現していました。

さて、「黒バス」。ほぼ半分は本当のボールを持っての試合。しかしゴールは3箇所あって(うち一つは可動式)、キャストは「実際にはトラベリングだ」と思われるくらい、ステップを多く踏んで、シュートします。早い動きになると(特に黒子のパス)、ボールは使わず、動作だけで表現。「ハイキュー」方式に近い演出でした。

それより何より、おもしろかったのは、緑間の「ラッキーアイテム」、そして「黄瀬ガール」(黄瀬にキャーキャーいう女子高校生)を、白子(白いフード付きガウンを着たモブ=男性)が演じるところ。これは会場大爆笑、そして「カワイイ!」の悲鳴。本当、「カワイイ」は無敵です。

原作、アニメともファンタジックな表現が多く、実際に舞台で行うのはどうかと思っていましたが、非常に工夫されていて、「うまい」と思わせるところも多々ありました(お好み焼き屋のバレリーナなど。これは見てのお楽しみ)。もう一回観たくなる舞台でした。


須川亜紀子
須川亜紀子
Akiko Sugawa-Shimada
横浜国立大学 都市科学部/都市イノベーション研究院 教授
Professor, Department of Urban Sciences/ Institute of Urban Innovation Yokohama National University
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