2021年8月03日
テニミュ4thシーズン 青学vs.不動峰 感想
2.5次元ミュージカル・ライブシアター
テニミュ4thシーズン 青学vs.不動峰 感想

2003年から始まったミュージカル『テニスの王子様』も、今年18年目に4thシーズンを迎えました。先日、中国からの留学生たちと東京ドームシティで上演された「青学vs.不動峰」観劇に行ってきました。以下、彼女たちの感想です。【注:ネタバレを含みますので、お気をつけ下さい。テニミュは8月29日まで上演予定です。】

●サイさん

2016年9月17日、2019年2月17日、2021年7月16日。これは私が三回テニミュとデートした日でした。今回見たのはテニミュの4thシリーズでした。感想を兼ねて、中国人の私は『テニスの王子様』とテニミュに出会った経緯を皆様にお伝えしたいと思います。(写真もサイさん撮影)

1 テレビと海賊版DVDを経由した出会い

 今思い出しても昨日のような斬新な記憶で、中学1年生(2007年)の時偶然上海テレビのチャンネルで『テニスの王子様』のアニメを見かけました。その瞬間、私はあの帽子を被っているちびっ子の世界にハマってしまいました。次の週に授業中でもアニメのことをばかり考えてしまい、放課後学校の隣のビデオ屋さん(当時はDVDで海賊版の日本のドラマやアニメを売っているお店)に『テニスの王子様』の入荷を一生懸命お願いして、遂に手に入れて随分鑑賞できました。ちょうどその時から日本のコンテンツを大量に鑑賞でき、日本に対する憧れもその時から生まれてきただろうと今気づいています。

2. 現実と虚構の境界線がなくなった初めてのテニミュ

 初めて見たテニミュは2016年の3thシリーズの青学vs氷帝でした。実は少し前から「現実の人が演じている『テニスの王子様』があるよ」と大学のアニメ好きの友達から耳にしましたが、「現実の人が2次元の人を演じられるわけがない」と私の心の中に拒否していました。しかし、最後はまた別の友達のお勧めで見てみようかの気持ちで見に行きました。

結局最後テニミュに感心しました。劇場に入り、すぐそばに座っていた女の子に声をかけられ、その後WECHATとウェイブの連絡先を交換し、テニミュの同担を作りました。観劇中、ラケットを振ると共に、アニメと同じボールが打たれた音が出てきて、照明によってボールの運動ツールもはっきりしていて、アニメのようなストーリーの構成でサプライズ感と安心感を感じました。完全に没入感を感じたのは、青学と氷帝の戦いの中で白熱化した中、皆で一緒に「勝つのは青学、負けのは氷帝」と「勝つのは氷帝、負けのは青学」とのメンバーへの応援のモットーを言う時でした。自分は現実世界にいるのか、アニメや漫画の虚構世界にいるのか、感覚が紛らわしくしまいました。この体験は一体何なんだろうと疑問しつつ、日本に留学に来ることを決めました。

3 レベルアップした4thシリーズ

 今回のテーマに戻ると、少し距離をおいて感想を一言で言えば、レベルアップしました。具体的には、演劇自体のストーリー構成の斬新化することで演劇をもっと楽しめるというレベルアップです。漫画のコマ割りのような視覚をさらに紛らわす舞台装置は今までなかったです。また、キャスターの人数が増えると共に、レギュラー隊員メンバーだけではなく、脇役の存在ももっと鮮明になっていると気がします。例えば、記者の井上(原作の中にもある)の出番の回数が増えて、また井上のギャグのプロットによって現場の雰囲気を和らげて、笑い声で鑑賞性が高くなっていると思います。しかし、今回はコロナ感染予防対策の為、観客として声を出してインターアクションを取ることができずに、大変残念でした。

4 参加型文化とは

 昨年度からのコロナ禍によって、私達は直接な接触なく、メディアを介在して様々な活動を参加するような日常になってきました。しかし、演劇は観客自分自身で足を運び、会場に入る時から、自分の視覚や触覚で雰囲気を感じ、応援の声や拍手によって自分の身体を活かして即時随時に舞台にいる俳優とコミュニケーションを取っている文化活動です。自分自分がメディアであり、何より感情が鮮明です。そして、感動や喜びももっと深く感じられます。このような想い出を思い返す度に、私はまたテニミュの世界に入り込んだように、テニミュからいただいた感動を改めて感じられます。コロナ禍が一刻も早く収束できるよう、たくさんの人が劇場へ来られるように心から願っています。

●カクさん

私自身は元々2.5次元の愛好者として、ときどき舞台やミュージカルを見に行ったりします。コロナ時期以来、劇場にいく回数が減らしていた。観劇スタイルは以前の現地より、ネット上の配信の方が増えました。そのため、今回現地で観劇する機会を頂いて、非常に楽しみしておりました。

 『テニスの王子様』原作とミュージカルは、日本国内と海外にも非常に人気が高い作品である。今回初めて「テニミュ」をみて、最初から一番驚いたのは舞台装置です。まるで原作漫画のコマのように、時にテニスコートになったり、時に戦況最中のテニスネットになったり、舞台上ストーリーの流れにしたがって時間と空間を転換させること可能になりました。青学vs不動峰試合の最中に、舞台上に「光と影」の効果によって、そして役者さんのセリフとお芝居との組み合わせ、目の前にこの全体像の凄さを特に感じられると思います。「テニミュ」は、「熱さ」や「青春感」のたっぷり詰まった尊い作品だと感じられました。試合だけでなく、劇中で描かれた青学と不動峰それぞれ先輩と後輩の間関係性は、色んな「青春感」を味わうことができたと思います。

そしてもう一つ印象に残るのは、後半の部分役者たちはキャラクターの姿として、観客席にいる観客たちとのインタラクティブなコミュニケーションです。この時期で、劇場で一定の距離をとらなければなりませんが、声が出れなくでも、手振りや拍手でこの「熱さ」を伝えることできたと思います。

今回観劇でき、そして色々な話ができて本当にありがたいです。この時期でほとんと配信でみるミュージカルや舞台は、目の前に役者さんの姿を見れて本当に感動し、ひとつ一つの細かいお芝居に目に奪われて気が付いました。この時期だからこそ、観客の一員として、再び2.5次元文化そして舞台・ミュージカルなど様々な思考ができる貴重な機会と感じられました。


須川亜紀子
須川亜紀子
Akiko Sugawa-Shimada
横浜国立大学 都市科学部/都市イノベーション研究院 教授
Professor, Department of Urban Sciences/ Institute of Urban Innovation Yokohama National University
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